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鶴の恩返し

このお話は、良い事をすると自分にも良い事が返ってくる、という教訓がありますよね。

お爺さんお婆さんではなく青年だったり、娘になるのではなく妻になったりというパターンがありますが、ここはやっぱり一番メジャーな あらすじをご紹介します。


昔々あるところに、貧しいけれど心の優しいお爺さんとお婆さんが仲良く暮らしていました。

ある寒い冬の日、お爺さんは町へ薪を売りに出かけました。

すると寒い雪の中、罠に掛かっている一羽の鶴を見つけます。
可哀想に思ったお爺さんは、鶴を罠から外して逃がしてやりました。

その夜は大雪となり、家でお爺さんがお婆さんに鶴を助けた話をしていました。
すると、コンコンと家の戸を叩く音がします。

お婆さんが戸を開けるとそこには美しい娘がいて、雪の中で道に迷ってしまったので一晩泊めて欲しいと言います。

次の日もその次の日も大雪が降って、外へ出かけることも出来ません。

娘は食事の用意をしたり掃除をしたりお爺さんやお婆さんの肩を揉んだりと、とても優しい娘でした。
子供のいないお爺さんとお婆さんは、娘をわが子のように思いました。

そしてある日、娘が機(はた)を織りたいと言ったので、お爺さんは糸を買ってきます。
すると娘は、「機を織っているあいだは、絶対に部屋をのぞかないでください」と言いました。

機を織り始めて三日目の夜、娘がとても美しい織物を持って部屋から出てきました。
そしてそれを町で売って、もっと糸を買ってきて欲しいと言います。

お爺さんがその美しい織物を町に売りに行くと、殿様がとても高い値段で買ってくれました。

お爺さんが糸を買って帰ると、娘はまた部屋にこもって機を織り続けます。
のぞいてはいけないと言われてはいたのですが、お爺さんとお婆さんはどうしてあんなに美しいものを織れるのかとのぞいてしまいました 。

するとそこに娘の姿は無く、一羽の痩せた鶴が自分の羽毛を抜いて糸に織り込んでいたのです。

その夜、完成した織物を持って出てきた娘は、「お爺様、お婆様、ご恩は決して忘れません。私は罠にかかっているところを助けられた鶴で ざいます。ご恩をお返ししたいと娘になってまいりましたが、もうお別れしなければなりません。長い間ありがとうございました」と言うと 、鶴の姿になって舞い上がり、家の上で三べん回って山の方へ飛んで行きました。

お爺さんとお婆さんは、「娘や、ありがとう。元気に暮らしておくれ…」と、いつまでも鶴を見送りました。

その後、お爺さんとお婆さんは、娘の織物を売ったお金で幸せに暮らしたそうです。


この話では、良い事をしようという教えのところが強く出て、子供にも分かりやすくなっていますよね。

別のパターンでは、青年が鶴を助けて娘が妻になるというものもあるんですが、約束を破ってしまったりする青年の愚かな部分などがもう 少し強調されているものがありました。

実は「鶴の恩返し」には、良い事をすると自分にも良い事が返ってくるという教訓のほかに、とても優しい善人であっても約束さえ守れなか った愚かな部分があるという、人間の複雑な心理を表しているという説もあるそうです。

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