昔話　～日本の文化・風俗～

さるかに合戦

さるかに合戦は、ずる賢い猿が蟹に意地悪をして、仕返しをされるという話ですね。典型的な因果応報が主題の話になっています。
こちらもかなりのバリエーションがあるのですが、一般的なものをご紹介します。

昔々、柿の種を拾ったサルが、おいしそうなおにぎりを持ったカニと出会いました。

サルはカニのおにぎりがどうしても欲しくなり、カニにずるいことを言いました。
｢どうだ、この柿の種と、そのおにぎりを取り替えないか？」
｢でもおむすびの方が大きいじゃないか。｣
とカニは言いました。

するとサルは、｢この柿の種をまけば、毎年おいしい柿の実がなるよ｣とカニに言いました。

カニは大喜びで家に帰り、さっそく柿の種をまきました。
そして、せっせと水をやりながら、｢早く芽を出せ、柿の種。出さぬと、はさみでほじくるぞ。」

すると、どうでしょう。さっきまいた柿の種から芽が出てきて、ぐんぐん大きな木になりました。

カニはその木に向かって毎日、「早く実がなれ、柿の木よ。ならぬと、はさみでちょん切るぞ。」

すると、今度は柿の木に、たくさんの柿が実りました。

｢よし、これで柿が食べられる｣と思ったのですが、カニは木登りが出来ません。

くやしそうに下からながめていると、そこにサルがやってきて言いました。
｢柿が実ったのか。よしよし、僕が代わりに取ってやろう」

サルはスルスルと木に登ると、自分だけ赤くて甘い柿の実を食べました。

｢サルさん、わたしにも柿を取って下さい」

｢うるさい、これでも喰らえ！」

サルはカニに、まだ青くて固い柿の実をいくつもぶつけました。

大ケガをしたカニは泣きながら家に帰ると、臼と蜂と栗に会ってその事を話しました。

話しを聞いたみんなは、｢みんなであのサルをこらしめてやろう」ということになりました。

みんなはさっそくサルの家に行き、こっそり隠れてサルの帰りを待ちます。

寒さに震えながら帰ってきたサルが、囲炉裏にあたろうとしたとたん、そこに隠れていた栗がパチーンとはじけて、サルのお尻にぶつかりました。

｢熱い、熱いっ」
お尻を冷やそうと水がめのところへ来ると、水がめにかくれていた蜂がサルをチクっと刺します。。

｢痛い、助けて～！｣
外へ逃げ出すと、屋根の上に隠れていた臼がサルの上に飛び降りました。

｢もう意地悪はしないから、お願いだから助けておくれ！｣

それからサルは改心して、二度と意地悪はしなかったそうです。

もともとは、カニはケガではなく死んでしまってカニの子供が仇討ちをするという話だったようですが、子供には残酷過ぎるということで、カニはケガをしてサルは改心するという話になったそうです。
他にも、牛糞が仲間になるものなどなどいろいろなバージョンがあります。